法被波呂卯院！

スターボックスコーヒーのお代は師匠が払いました。
頼れる大人なのでね。

午前九時から午後十八時までの仕事。彼女はいつも休憩を十六時から一時間とる。
どうしてもという事でこの時間にとらせているが、正直な話をすると皆と一緒にお昼ごろに行ってもらった方がよほど助かる。
それでも許可を出しているのは、彼女が有能でかつ、そのモチベーションを崩したくないからだ。

「夕焼けが好きなんです。」
一度煙草を吸いに屋上へ赴いたことがある。彼女はそこで食事を摂っていた。
「ふーん。吸ってもいいか？」
「どうぞ。」
空を見ても分厚い雲があるばかりで、夕焼けなどというものは見えそうにない。
俺たちは、この世界の住民は空と言うものを見たことが無かった。俺が生まれる何百年も前から、空は果て無く雲に覆われていたからだ。
「茜。この時間帯の空の色を、昔の人はそう呼んだせいです。色は赤に近い橙。
信じられませんよね、この空がそんな色になるなんて。」
カチカチとライターを鳴らして火を灯す。煙草のけむりが灰色の空まで浮かんで、雲と同化していった。

「ああ。なるほど。
案外ロマンチストだな」
「私もそう思います。」

断るときははっきり断る。
それが男の流儀だぜっ